翻訳-CPO 出身のTim CookがApple社CEOになるために採った戦略(2)

(Part2)
引き続き今日も、Tim CookがApple社で実践することで、彼がSteve Jobsの右腕になる手助けとなった戦略について見ていくことにしよう。1人のChief Procurement officerが、その購買とサプライチェーン領域での成果に基いて、CEOの役割にまで昇りつめたという、とてもクールな基本理由は、それだけで注目に値するものだが、それに加えて、なぜTim CookとApple社に注目しているかの理由を一度振り返っておこう。

1.ビジョナリーのリーダーであったSteve Jobsは、事業における購買の重要性を認識していた。
2.Apple社のここ15年以上にわたる成功は素晴らしいコスト構造とグローバル・サプライチェーンを伴った素晴らしい製品に起因している
3.Tim Cookの業務実施内容は、優れていることは間違いないが、我々のリーダーが実践しているのと同様の戦略はいくつも含まれている
4.Steve JobsとApple社は購買について異なった考え方(think differently)を選択し、その実践によって広範な成功を収めた
5.より多くのCEOが購買について異なった考え方をするタイミングである
6.「CPOからCEO」への昇進は、「(このサイトのタイトルである)CPO Rising」の完璧な事例であり、なんといっても素晴らしいことだ

では、Cookを現在の地位に押し上げた戦略に立ち返るとしよう。

(顧客への)直接配送(Direct shipping): Cookと彼のチームは、中国からの航空輸送に見合う小ささであったIPodにて、2001年に実現した。その結果、配送期間は大幅に短縮され、オンラインオーダーされたものは、数日間で顧客に届くようになった。

支出集約 / サプライヤー集約: Cookは本当に戦略的なサプライヤーの数を約25社に絞り込んだ。大量の調達量を集中発注するこの戦略は、Apple社にサプライヤーに対する強力な交渉力をもたらし、その結果以下のようなことが起こっている。・“Should-cost” モデリング: Apple社の支出金額の大きさは、サプライヤーに対して明細見積を提供させることを可能にした。その明細には、材料費、労務費、物流費、販売管理費、利益に区分された金額が含まれる。

  • Apple社の主要製品に関わる主だったサプライヤーでの顕著な在庫増加が見られる( 先週の記事- Apple iPhone 5 Suppliers See Rise In Shares を参照されたい)
  • 昨日述べたように、Apple社への部品ビジネスを他のサプライヤーに取られると報道されると、サムソンの市場価値が100億ドル縮小した(本当に億ドルの単位だ)。
  • Apple社は、品質問題やワランティクレームを発生させたサプライヤーには、膨大なペナルティを課すことができる。

製造業務のアウトソーシング: Cookの大きな意思決定の1つが、中国企業、特にFoxconn社への製造アウトソーシングであった。 この戦略は論議(特にFoxconn社の工場の労働条件)を引き起こすことにもなったが、製品、製造方式、コストおよび全般的な効率性の観点からは、この意思決定は圧倒的に収益を高め、成功した。

  • アナリストによれば、Apple社の競争相手はどこもApple社ほど安く効率的にApple社製品を生産できないと言われている
  • “Should-cost” モデリング: Apple社の支出金額の大きさは、サプライヤーに対して明細見積を提供させることを可能にした。その明細には、材料費、労務費、物流費、販売管理費、利益に区分された金額が含まれる
  • Apple社の主要製品に関わる主だったサプライヤーでの顕著な在庫増加が見られる( 先週の記事- Apple iPhone 5 Suppliers See Rise In Shares を参照されたい)
  • http://www.youtube.com/watch?v=5cL60TYY8oQ をクリックすると、Foxconn社深セン工場でiPadが生産されている状況の2分強のビデオ“Inside Foxconn: Exclusive look at how an iPad is made”を見ることができる

優れた在庫管理: Apple社の高い在庫回転率の多くの部分は、Apple社製品への巨大な需要に起因しているにせよ、Cookは在庫を生産量の2日分に縮小した。Cookは、在庫は彼の事業の価値に毎週1~2%の損失を与えると言っている。4半期で350億ドルの売上があるので、在庫膨張による毎週2%の損失は、事業成果をめちゃくちゃにする。

製品の市場投入までの期間: 数年前、Steve Jobsは新製品紹介のためステージに上り、数ヶ月以内に利用可能予定の試作品デモンストレーションを実施した。しかし最近では、Jobs(そしてCook)は実製品デモによる新製品発表後すぐに、製品を発売している(今日では、なんらかの遅延が生じるのは、基本的に製品の守秘性や知的資産保護によるものである)

  • 数年前、Apple社はコンピュータ製品系列のすべてでインテル社製チップにシフトした。Apple社はこの大きなシフトを円滑に実施した。
  • Apple社の競争相手も発売の数カ月前に新製品を発表しているが、例えば、Steve BallmerはMicrosoft社の新画面方式を6月に発表したにも関わらず、まだ店頭に出てない。

他の領域での優れた業務実績: 2005年にCOOに任命される以前から、Cookは、購買、サプライチェーン、製造以外に、営業、顧客サポート、そしてMacintosh事業も引き継いだ。さらに、Steve Jobsは、iPhoneの販売・製造もCookに引き継がせた。

Tim Cookは、首尾一貫してイノベーションを起こし、サプライチェーンと購買業務からの成果を上げてきた。彼のApple社CEOへの任命は当然のことである。我々が2日間にわたって見てきた戦略は、非常に印象的なものではあるが、同様のことは今日多くのCPOも実践している。

しかし、何人のCPOが同様の成果を上げていくことができるのだろうか?私の知っている限りでは、ほんの一握りだ。The CPO is Rising!

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