Purchasing Must Become Supply Management (2)

状況を診断する

供給戦略を必要とする企業であるかどうかは、次の2つの要素に依存している。(1)製品ラインへの付加価値、トータルコストに占める原料比率、収益性への影響度などの観点からの購買の戦略的重要性、(2)供給の希少性、技術および/もしくは 代替材料の進歩の速度、参入障壁、ロジスティックス費用や複雑さ、独占または寡占状態などで測られる供給市場の複雑性である。(図1参照)。

図1_購入の洗練化ステージ

これら2つの変数から企業の状態を評価することによって、トップマネジメントと購買担当のシニアエクゼクティブは、企業が必要な供給戦略の種類を見極め、重要なサプライヤーに対する購買パワーの発揮を追求し、リスクを受容可能な最少値に削減しなければならない。そのためには、以下のような問いかけで評価し、魅力ある新たな対応策、もしくは重大な脆弱さ、あるいはその両方を明確することだ。

  1. 異なる部門および/もしくは子会社の間での統合アクションを実施する機会を有効活用できているか? 異なる部門からの供給ニーズを取りまとめることができれば、企業全体での購入パワーを増加できる。ある国際運輸企業は3種類の燃料(船舶用バンカー油、航空機用ジェット燃料、トラック用のガソリン)を個別購入していた。これらの購入量を全社統合するだけで、この企業は真のバーゲニングパワーを獲得できた。
  2. 想定される供給ボトルネックや供給途絶が回避できるか? 自動車部品メーカーはこれまで何年もソーシングしてきた焼結金属部品の供給市場を分析した結果、政治的な不安定が供給を危うくする要因であることを理解した。そこで、この企業のトップマネジメントは急いで購買ポリシーを変更し、国内の代替購入先を見つけるように指示を出した。
  3. どの程度のリスクが受容できるのか? ベンダー・ミックス、購入契約範囲、購入先の地域的広がり、希少購入品の確保などは企業の供給リスクを考えるのに役に立つ要素である。そして、企業は受容不可能なリスクを軽減するためのアクションを頻繁に実施すべきである。例えば、専ら長期契約で年間購入要求量を確保している企業は、見直しオプションを含む「エバーグリーン」契約(年次同意条項)の適用により相応の節減を達成できるかもしれない。反面、スポット購入にのみ依存している製造メーカーはスポット購入と契約購買をミックスすることで改善を図れるかもしれない。
  4. どのような内外製ポリシーがコストと柔軟性の間の最適バランスをもたらすのか? 自社内製比率が大きい企業の場合、残り分を社外購入する際のサプライヤーとの交渉は、内製度が低い競合他社よりも有利になるであろう。ダウケミカル、BASF、デュポンの全ては、長期の検討の末、内製化により購入確保の脆弱性を削減した。また、主要サプライヤーが継続的に生産能力過剰状態にある場合は、社外調達の方が大きな利得を得られるかもしれない。
  5. サプライヤー、さらには競争相手との協力関係を構築することは、長期の供給関係強化もしくはリソース共有にどの程度役立つのか? イタリアのアルファロメオと日本の日産自動車はある重要自動車部品を共同生産し、自社生産する以上のコスト効果を生み出している。ゼネラルモータースは、設計プロセスの早期からサプライヤーを参画させ、高品質、低コスト、ジャストインタイム生産に役立てている。
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