「購買部門はみんなの足手まとい」にどう対処するべきか

The Problem with procurement

毎日の仕事に頑張っているのに、「最悪の足手まとい、最大の敵」呼ばわりされてしまったら、これほど悲しいことはない。
しかし、約2年前のHervard Business Reviewのサイトに投稿された記事は、近年見かけないくらいに辛辣に記述されている。記事の翻訳を以下に示すが、オリジナルのURLも記述するので参照・確認してみていただきたい。月3本まで無料閲覧ができる仕組みとなっている。

PricewaterhouseCoopersのオランダオフィスが実施した調査で明らかになったのは、購買マネジャーはそこそこにやっていると思っているけれど、本当に価値がある活動は実施していないという調査結果を示している。

サプライヤー対応に関しては、サプライヤーの提案がほとんど採用されることがない馬耳東風の世界が示されてる。サプライヤーが何を提言しようと、結局は聞く耳は持っていないのだ。

一方、社内ユーザーに対しては、本当に相手にとって価値を生む対応になっていないことが示されている。相手に応じた調整がなされない紋切型対応や、満足度の確認ができていない様が課題としてあげられている。

時代背景としては、ある種の購買という業務に閉塞感が漂っていた2013~2014年の雰囲気が漂っているような気がする。
(これについては、別途記述することになると思う)

なお、Remko van Hoekは2014年9月に共著「Leading Procurement Strategy: Driving Value Through the Supply Chain」を出している。CIPSのロゴが表紙に入る魅力的な書籍ではあるが、この内容に関する記述が多そうにも思えず、何よりも高価なため、現在は購入に踏み切れないままになっている。

== 翻訳 ==
購買の問題(The Problem with Procurement)[Hervard Business Review, 2013年8月2日]

1983年のハーバード・ビジネスレビュー誌の記事で、ピーター・クラリジックは、購買部門が、さらに戦略的なサプライチェーン管理の役割を担うことを提言した。しかしそれから30年が経過した今も、大会社のセールスパーソンは、顧客企業の購買担当者を通さない(バイパスする)方法の訓練を受けている。これからもわかるように、この部門は重要視されていない。では、なぜにこんなことになってしまったのだろうか?

その理由を明らかにするために、私たちはアジアと欧州の200人ほどの購買上級職に調査を実施した。その結果わかったのは、購買マネジャーが、社外のサプライヤーおよび社内の要求元やその他の関係者の双方にとって、最悪の敵になっているということだった。

まずはサプライヤーとの関係からみていってみよう。回答者の約半分は、サプライヤーから市場の状況や新たなビジネス提案を得るために時間を使っていると回答している。これはずば抜けたことではないかもしれないが、悪い話ではない。

しかしより掘り下げてみると、そんなにバラ色ではない構図が見えてくる。下図が示すように、実際に、サプライヤーから提案された知見を採用し、サプライヤーとのサプライチェーン改善の取り組みに活かしている購買マネジャーは3分の1程度しかいない。社内ユーザーと知見を共有しているのはちょうど2割、サプライヤーにとって自社の位置づけを語れたのは17%だけだった。これでは、こんな人々に時間を費やしたくないとサプライヤーが思ってしまっても仕方ない。

サプライヤーの知見と提言

社内に目を移してみよう。2番目のグラフが示すように、多くの購買マネジャーは自分が戦略的な価値があると、社内に示そうとしている。社内の関係者に関する知見を体系的に収集し、うまくいく方法を助言をしているつもりになっている。しかし、そんなにうまくはいっていない。提案内容を社内ユーザ―や社内関係者の状況に応じて調整したり、満足度調査や満足度目標の設定をしているのは3割にも満たない。

購買業務へのマーケティング戦術の適用

もしこれが典型的だとしたら、多くの役員クラスの人たちが購買は足手まといだと語っても驚きはしない。そして、多くの業界の新人たちは、購買をキャリアパスとして選ぶことはないだろう。
そうならないためには、購買マネジャーは、サプライヤーと社内に対するアプローチを変える必要がある。値引き交渉を越えた戦略的なビジネスパートナーにならなければならない。

Remko van Hoekは、オランダをベースにするPricewaterhouseCoopersのグローバル・プロキュアメント・ディレクターである。

元記事掲載URL: https://hbr.org/2013/08/the-problem-with-procurement

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