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「困りごと全部聞きます」、サプライヤーとの協調路線に舵を切り、新たな購買改革施策を打ち出す日産‐日刊工業新聞 (2021-11-25)

日産自動車が、ゴーン前CEOの強硬路線からサプライヤーとの協調路線に舵を切ったとの論調の記事を、「問われる真価(11月18~22日)」を中心に日刊工業新聞が主体にいくつか掲載してます。

取締役会が議論無く20分で終わるなど、ゴーン前CEOのカリスマ化による強硬路線から舵を切った日産を特集し、特に11月18日の「日産 問われる真価(上)芽生える改革の心」では、日産が進めている一連の調達改革が取り上げられました。

まずトップダウンの日産のサプライヤー対応が、2020年夏に変化したことが述べられています。
2020年夏のスペインとインドネシアの工場閉鎖発表直後に、「日翔会」(日産サプライヤー協力会)の幹部に対して、長谷川専務(購買担当)が「困りごとがあれば全部聞きます」と語りかけたとのこと。それに対して、例えば新車デザイン段階のコストダウンで「これまで日産が我々の声を聞くことはほぼなかった」との変化の実感を、ある部品会社首脳が述べたとも報じています。

そしてその結果集まった、原価低減の見直しなど100件以上の意見に基づいて、現在打ち出されている様々な施策、例えば、「モデルチェンジごとのサプライヤー競争入札から複数車種にわたる長期取引に移行」、「新車デザイン設計段階からサプライヤーとの意見すり合わせを重視」などが出ているとしています。

それに対して、新車デザイン段階からのサプライヤー参画はなく、図面が固まってから発注数量をてこに集中購買先サプライヤーと有利に交渉・選定するのがゴーン時代の従来路線とし、それからの転換を記事は示唆していると思えます。

自動車のEV化に加えて、内田体制で「日産NEXT」を実施中の日産ですが、一方で内田CEOは2003年に厚木の日産購買本部へ途中入社し、その後日産ルノー共同購買(RNPO)も担当と、まさにゴーン改革の最盛期を体験という経歴です。日産の調達改革が今後どう進むのかは、こんな観点も加味してみると興味深く思われます。

参考)
“ゴーン改革”以来の大幅な方針見直し、日産が部品調達で入札取りやめの成否‐ニュースイッチ(2021年11月10日)
https://newswitch.jp/p/29521

電動化時代に一手、日産が構築した新車開発のコスト減らす仕組みの全容/日産、調達先選び前倒し デザイン段階で連携、新車開発コスト減‐ニュースイッチ(2021年11月1日)
https://newswitch.jp/p/29421

購買変革が続々と報道の日産: 半導体調達方針、製品開発手順/コスト保証、排出削減目標など-日刊工業新聞社など (2021年10月21日)‐It's購買系
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/F4772291342802072