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購買変革が続々と報道の日産: 半導体調達方針、製品開発手順/コスト保証、排出削減目標など-日刊工業新聞社など (2021-10-21)

トヨタへの注目も大きいですが、日産自動車の購買変革が、供給危機とEV化(製品変化)の2つの波に直面している状況を背景に、最近続々と報じられています。

■調達方針(在庫基準)の見直し-サプライチェーン方針の見直し
10月5日の日刊工業新聞では、日産が一部の車種(グレード)で使用半導体を特注品から汎用品に切り替える検討を進めていることを報じました。日産も半導体不足で生産調整の工場停止を国内外で行っていますが、半導体を汎用品に切り替える製品仕様調整により、半導体需給逼迫時にも生産への影響の緩和を狙うとのこと。さらに汎用品化は複数サプライヤーへの並行発注にも寄与すると思われます。

さらに記事では、半導体採用部品の1次サプライヤーとの契約期間やサプライヤー在庫保有高の見直しを行うともしています。設計変更時の補償などで日産の負荷増につながると想定されますが、このような対応を行うとしています。一方で、4次や5次のサプライヤーまで半導体サプライチェーンの見える化を図り、リスク軽減することも触れられています。

参考)
トヨタ・日産、持たざる経営に転機 半導体在庫積み増し (2021年9月15日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC131280T10C21A9000000/

■サプライヤー選定の早期化と開発協業-開発プロセスの見直し
製品開発段階の変更も同時期に報じられました。10月6日の日刊自動車新聞は、記事「日産、サプライヤーとの連携強化 早い段階での確定発注など 先行開発分野でも 商品力向上へ」で、日産が「アライアンス・ストラテジック・パートナー(ASP)」と「アライアンス・イノベーション・パートナー(AIP)」とするサプライヤーを選定して協業する報道がされました。

記事によると、「アライアンス・ストラテジック・パートナー(ASP)」は、新型車(5年以上先の次世代モデルなど)向け部品などを早めに発注する(発注先として早期選定する)サプライヤーで、部材サプライヤーのみならず、物流企業やツール(金型治具)ベンダーも含み、選定を開始したとのこと。

一方で「アライアンス・イノベーション・パートナー(AIP)」は、初期段階から共同先行開発を手掛けていくサプライヤーで、技術テーマをサプライヤーとつめて、年内に選定開始とのこと。

なお「アライアンス・ストラテジック・パートナー(ASP)」制度は日本経済新聞(7月6日)でも報じられていましたが、その際の「ASP」は「AIP」であり、別途早期選定する(早期に発注先として決める)サプライヤーが「ASP」、今回の日刊自動車新聞はしています。

そしてこのように対応される部品は、日産特注品主体になるであろうことが想定されます(特注部品の開発をより早期化したともみられます)。

参考)
日産、サプライヤーとの連携強化 早い段階での確定発注など 先行開発分野でも 商品力向上へー日刊自動車新聞 (2021年10月6日)
https://www.netdenjd.com/articles/-/256532

日産、調達先選び前倒し デザイン段階で連携、新車開発コスト減-日刊工業新聞 (2021年10月29日)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00616802

日産、EV部品開発費を補償 メーカーつなぎ留め-日本経済新聞 (2021年7月6日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC235VX0T20C21A6000000/

サプライヤー満足度低位常連の日産が、共同開発部品の開発費のサプライヤー分の補償制度を設置へーIt's購買系 (2021年7月16日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/4457620907602452

■CO2削減目標をサプライヤーにも設定
一方で、供給(上流)サプライチェーン(スコープ3)でのCO2削減に注目が集まっていますが、日産も部品会社に排出源目標設定を要請すると報道されています。

参考)
日産、部品メーカーにCO2削減要請 22年にも-日本経済新聞 (2021年10月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1164H0R11C21A0000000/