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サプライチェーンの対応力アップにはツール導入だけでは達成不可、サイロ化分断組織の体制面の見直しが不可欠-Mckinsey他(2021-09-23)

サプライチェーンの見直しは、今まさに全世界的なテーマになっています。そしてそこでは、デジタルツールの導入がキーポイントとされています。しかし組織的な対応が的確に行えていないと、成果が十分に上がらないとの内容を含む論考が、マッキンゼーおよびハーバード・ビジネス・レビュー誌から出ました。

■購買分析でレジリエンスを備えるには(Building resilience through procurement analytics)

9月14日にコンサルティング会社のマッキンゼーが論考を発表しました。
その内容は、最初に書かれているように、新ツール導入は有効だが、それには4つの優先取り組みを購買組織体制の整備として行う必要があるとしています。

まず、分断(サイロ化)データと手作業によるプロセスでは限界があり、分析ツール導入の必要をコロナ禍が一層明らかにしたとの認識が示されます。実際に、マッキンゼーのウェビナーアンケートでも、半数の企業が可視性が向上し、対応が容易化したとのことです。一方で3分の1は僅かな改善、6分の1は改善成果なしとの結果とのこと。

ではなぜ改善成果が上がらないのか...それがこの論考での問題提起となっています。
結論としては、4つの問題点が挙げられています。
1).全社視点で考えること無く、自部門把握可能の断片データでバラバラな対応を行っている
2).支出実績にしか目を向けず、様々な情報源に基づく全社横断の総合的判断に至れていない
3).成果を上げている人や成功体験が共有されず、各自バラバラな分析の仕方をしている
4).プロセスなどの自動化ツール(含:データ収集などの関連プロセス)が十分に整備されていない

このような環境下では、いかに立派な新ツールを導入しても成果は上がらない。反面、ますます複雑さを増し、不透明になるビジネス環境であっても、分析ツールを上手く使いこなせれば、購買分析は効力を発揮できるようになるとしています。

■サプライチェーンを近代化する簡単な方策(A Simpler Way to Modernize Your Supply Chain)

ハーバード・ビジネス・レビュー誌でも、MITのDavid Simchi-Levi教授による論考が、9~10月号に掲載されました。オペレーション観点の論考の本誌掲載は珍しいことです。
この論考は、販売側(下流サプライチェーン)の部分が多いものですが、ここでも組織体制面の指摘がなされています。すなわち、個々の組織が何週間もかけて出した個別見解を統合して事に当たるような状態では、どうにもならないとの指摘です。

このように、新ツールの導入には、それを使いこなす体制面整備が重要とする論考が相次ぎました。

参考)
A Simpler Way to Modernize Your Supply Chain-Harvard Business Review
https://hbr.org/2021/09/a-simpler-way-to-modernize-your-supply-chain