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改正電子帳簿保存法の添付電子ファイル(見積書など)の扱いで混乱発生中、業者の一方的売り込みも(2021-06-13)

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法)」の改正(3月31日公布、2022年1月1日施行)の添付取引電子ファイル保管について、紙に印刷しての保管が認めれらなくなりました。詳細が国税庁からまだ未発表(準備中)ながら、ベンダー各社の対応システム売り込みが激化している状況です。

今回の改正の購買業務関連分では、電磁的方式で授受される取引情報(注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項、いわゆる「電子取引の取引情報(電子帳簿保存法第10条対象)」のうち、「スキャナ保存」と「メール添付など授受される電子取引情報」に関連します。一方で、一貫してコンピュータシステム上で取引が行われ、訂正削除が確認できる、もしくは不可のクラウド等(ERPクラウド等)での重要改正はありません。

加えて、不正時の罰則として重加算税の過重措置という重い措置が設定されもしました。

スキャナで読み取って保存する場合は条件緩和されました。スキャンデータの訂正又は削除時に、その事実及び内容を確認することができるクラウド等(そもそも訂正又は削除を行うことができないクラウド等も含む)に保管するのであれば、タイムスタンプの付加が必須ではなくなりました。

一方で、メール添付などで送付された注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などは、紙に印刷出力して保管することができなくなりました。すなわち、以下のいずれかが必要になります(電子帳簿保存法施行規則8条)。
1).取引先(交付先)でタイムスタンプが付されたものを受け取り、電子データで保管
2).受理後、受理側で約2か月以内にタイムスタンプを付加して電子データ保管
3).訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム、又は訂正削除ができないシステムで保管
4).訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け

そしてこれを機に、メール添付などの電子取引データを保管する情報システムの売り込みセミナーが多数開催され、さらには強引な営業行為も見られるとのことです。

ただし、既に企業が導入しているERPクラウド等(訂正削除が確認可もしくはそもそも不可のクラウド等)がある場合、それに保管する場合はどうかなどの指針を出しているベンダーはないようです。ゆえに話に乗って拙速対応すると、要らないシステム/業務手順の重複導入の可能性もあると思います(さらにやばいとなったら、既存ERPベンダーも機能追加に動くでしょうし)。

この機会にセミナーなどへ出席して知見を得ておくのはよろしいと思います。そしてその上で必要が生じたら、税理士や経理部門(自社国税対応窓口)と十分に連携して動くべきかと思われます。最悪の場合「法律が変わったから、これまでの添付ファイル提出分はしばらくは紙で出してね」で済みますので、まぁその覚悟もありかと。だたし、既導入システムがない場合はドキドキかも。

注)この記述は然るべき資格を保有しない人間による戯言です。そのように認識ください。

参考)
電子帳簿保存法が改正されました(令和3年5月)-国税庁
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf

「領収書スキャン保存」を大幅緩和 経理もデジタル化-日本経済新聞 (2021年2月4日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK251ZH0V20C21A1000000/

紙の領収書、即時廃棄可能に 税制改正で電子化加速-日本経済新聞 (2021年3月6日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFP094Y70Z00C21A2000000/