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原材料価格低下を3分の2の企業が購入価格に反映できていない、契約形態と明細把握方式のゆえだ-ボストンコンサルティグ(INVERTO) (2020-11-26)

ボストンコンサルティグ子会社の(INVERTO(2016年買収)から、レポート「Raw Materials Study 2020」が発行され、そこでコロナ禍で原材料市況が低下したのに、3分の2の企業はこの変化を購入価格に的確に反映できていないとの調査結果を発表しました。供給ボトルネックに関する懸念は遅延はあったが軽微でかつ現在は改善しつつあるが、一方で不当に高値買いをしてしまう(適切な価格反映ができない)状況(前述)は、改善すべき課題ではないかとの問題提起をしています。

原因としては、2つがあげられています。1つは長期固定価格(Long-term Fixed Price)による購入契約です。これは価格上昇期には有効である一方、コロナ禍のような価格急変には追随できない性格があり、施策的には両刃の刃のところがあります。

もう一つの原因としては、原材料の購入量が明細把握できていないがゆえに、市況低下の影響を購入価格に機敏に反映できていないことをあげています。

そしてそれに対する推奨策としては、以下を挙げます。
(積極性ある能動的なサプライヤー対応)
1.現状の見直し(Review of the status quo)
2.リスク分析と評価(Risk analysis and evaluation)
3.供給確保戦略の策定(Development of supply security strategies)
4.原材料価格低下の活用(Taking advantage of lower raw material prices)
(価格透明性の確立)
1.製品レベルでの体系的原料モニタリングを自ら行う方式導入(Structured introduction of an active raw material monitoring on product level)
2.プロセス自動化用ビジネスインテリジェンスツールの導入(Introduction of Business Intelligence tools for process automation)
3.市況インデックスベースの契約スキームによる持続的なコスト削減(Sustainable cost savings through index-based contract design)

なおかつては、米国企業は一括価格の優劣で「机を叩く」購買をしている、欧州企業はサプライヤーとの力関係で明細提示を受けれないと、明細把握は日本企業のお家芸のように喧伝されていた時期がありました。実際にきちんと実施できている日本企業もありますが、果たして皆さんの会社はいかがですか。一方で、マッキンゼーのShould-Cost Modelを始めとして、欧米企業が価格明細把握に注目を強めてきている様子が見えます。

参考)
Raw Materials Study 2020 – INVERTO(英語レポート入手先)
https://www.inverto.com/en/publikationen/raw-materials-study-2020/