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コロナ後はグローバルサプライチェーンの自律”再編”へ、国内回帰に補助金出したのは日本だけ!?-ロイター (2020-10-15)

ロイターが10月11日に「焦点:コロナ禍で見えてきた、生産「グローバル化」の新たな姿」という記事で、貿易摩擦・コロナの供給途絶の後もグローバル・サプライチェーンは姿を変え、再編されて(Revise)残るであろう、国内回帰に逆転(Reverse)はしないという内容の記事を掲載しました。

恐らく、経済的な合理性に従って、中国に残るものもあれば、周辺分散するものもあるだろう、一律ではない、冷静になろう、が最近のトレンドになっていると思います。それを補強する内容になっています。

例えば、米国のベビーベットメーカーのCEOの「メード・イン・USAが有効なのは、品質が同じで価格競争力がある場合だけだ。だが現時点では、その条件(労働コストやサプライヤー確保)は満たされていない」「当社は中国から全面撤退するのではなく、分散化する方針だ」とのコメントが取り上げられています。

また、保護主義的な政治傾向にもかかわらず、新たな輸入関税設定は、ピークの2年前と比べてはるかに減少していることも挙げられています。

そして、前WTO事務局長パスカル・ラミー氏の「言うだけで実行に移さないことが増えるだろう。その理由は単純で、高くつくからだ」「グローバル化は効率的で苦痛を伴う。脱グローバル化は非効率的で苦痛を伴う」とのコメントが示されます。

その上で、「拠点分散化の組み替えが起こる。それは脱グローバル化ではなく、グローバル化の新たなバージョンだ。再編ということだ」とラミー氏はしています。また、現時点で米国国内への大幅な国内回帰は見られておらず、「チャイナ・プラス・ワン」戦略のような再編になるのではとされます。

そして1点だけ気になったのは、国内回帰のために政府が補助金予算を組んだのは、日本だけとのことです。特有対応を採るようなマインドセットを日本政府は持っているのでしょうか(10月1日発表のオーストラリアの近代製造業戦略(Modern Manufacturing Strategyも補助金が出るようにも見えますが)。

参考)
Globalisation revised but not reversed by COVID-Reuter (上の記事の英語版,グラフ・図表あり)
https://jp.reuters.com/article/uk-health-coronavirus-globalization-anal-idUKKBN26S1ND