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コロナ後新常態では、購買オペ工数は26%に、新たな業務運営モデルと役割に購買部門はシフトする-Hackett (2020-09-30)

多くの企業が業績ベンチマークに利用する調査会社のHackettから、9月9日に最新のパフォーマンスレポート相当資料「World-Class Procurement: Transforming Procurement to Prevail in the Next New Normal」が発表されました(今年は新コロナ禍の影響もあったのでしょうか、少し時期が遅れるとともに、体裁も変わりました)。

レポートでは、従来のように、平均企業とトップ企業(ワールドクラス)での業績指標値が対比されていますが、それに加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)後のトップ企業(ワールドクラス)の想定値が加わったのが今年の特色となっています。「2年分のデジタル化を2か月で」のマイクロソフトのナディアCEOの発言もありましたが、デジタル化が当然果たすべきこととして捉えられ、比較目標として示される内容に変更されました。

平均的な企業に対してトップ企業は業務工数では28%、業務コストでは20%少なく業務運営を行なっており、その結果、投入コストに対する成果(ROI)は2.2倍になっているとされています(従来の時系列グラフで示されてた比率と大きくは変化していないと思われます)。

しかしDX化されたトップ企業は、DXが十分でない状態に比べて、さらに業務工数で16%、業務コストで8%少なくなるとされています(平均的な企業に比べて、DX後トップ企業は業務工数は40%、業務コストは26%すくなくなるとしています。最近は、トップ企業でも平均企業でも成果のめぼしい向上が見られない状態が継続していましたが、その状況を打ち破る鍵がデジタルトランスフォーメーション(DX)と考えられているようです。現在のトップ企業に対して、DX後トップ企業は全体コストが8%減ると考えられています。

では、DX後のトップ企業の業務工数分布はどうなるかというと、業務オペレーション(作業)に関する部分は26%(約4分の1)に減少する予想です。現状のトップ企業より6%減少します。
因みに、平均的な日本企業で測定してみると、業務オペレーションの工数比率が6~7割と20年前の欧米トップ企業並みになっていることが少なくありません。生産性/効率性が低い状況が継続しています。

その他の業務工数では、ソーシングとサプライヤー対応が49%(約半分)と戦略策定が11%は変わりません。では減少した6%はどこへ行ったのかというと、業務プロセスの定例業務以外で増加するとされています。

そして購買業務の役割は、①CPO、②ソーシングなどの従来購買業務担当、③事業部門(ユーザー)担当リーダー、④業務デジタル運営担当、⑤業務変革担当、⑥全社集中業務センターの6つより構成されるようになるのではとの「次世代(新常態)での購買運営体制モデル」の想定を提示します(これも、従来のモデルから変更されました)。それぞれにかかるコスト比率想定も、図8で示されています。

そしてその上で、想定効果を明確にし、その実現に必要な施策を描き出して、ロードマップ計画化して着実に進めていくことが提言されます。

このように、今回は体裁を変えてきましたので、従来以上に読み込んでみるに値するものと思われます。