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内外製判断の基準が変わるかも、購買部門はスリム化して迅速な組織に、そして経営戦略への貢献、購買の将来を決めるトップ10のトレンドーSupply Chain Digital (2020-03-07)

米国の購買情報サイト「Supply Chian Digital」が「購買の将来を決めるトップ10トレンド(Top 10 trends shaping the future of procurement)」という題で、3月5日に記事を発表しました。その中から、興味深そうなもの3つを取り上げてみようと思います。

■現在の内外製判断基準が変わる(Existing decisions on make vs. buy will be challenged)
3Dプリンターの活用をそろそろ考えてみてもいいのでは、いちいち金型などを作るのではなく...そんな想いがあるのでしょうか、この項目がトップに位置付けられました。PWC(Strategy&)の調査結果などが示すように、適用分野やノウハウも積みあがってきています。特にスポットで少量品が必要になる補修部品などは、使わない金型保管問題の解決も含めて、日本でも留意しておくべきかと思います。

参考)
取り残される日本、3Dプリンターでの「1兆円コスト削減」に消極的なワケ(PWC(Strategy&)の調査結果を含む)ービジネス+IT(2020年2月13日)[会員限定分あり]
https://www.sbbit.jp/article/cont1/37597

軍用機の部品調達に悩む米空軍は、「3Dプリント」に活路を見出したーWIRED(2020年2月20日)
https://wired.jp/2020/02/20/air-force-3d-printing-parts-manufacturing-olympics/

2メートル級自動車バンパー、3Dプリンターで一体造形に成功ー日刊工業新聞(ニュースイッチ)(2020年3月5日)
https://newswitch.jp/p/21371

■購買部門がスリム化され、より迅速に事業部門い直接的に貢献する部門になる
 (Procurement will be a smaller, more agile function that partners directly with business units)
 購買部門が全社戦略に貢献するようになり、その貢献が競争優位性獲得の重要手段になる
 (Procurement’s contribution to the overall organisation strategy will be a major driver for competitive advantage)

購買部門の役割体制に関する2つの項目が、9番目と10番目に並びました。品目毎の集中購買組織(品目カウンシル)で対象購入品が到来するのを受け身で待つのではなく、事業部門の業務改善に積極的に打って出て、事業部門に直接的に貢献する購買部門を考えた場合、スリムで迅速は重要になるのではと思います。

加えて、並河さんや梅原さんが購買ネットワーク会で昨年取り上げてくださったように、事業部門の買い方や予算設定にまで踏み込んでいく、先端的な購買部門の形が示されているようにも思います。

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なお、10個のトレンドは列挙すると、次のようになります。
1. 現在の内外製判断基準が変わる(Existing decisions on make vs. buy will be challenged)
2. 購買業務で使えるところに、ブロックチェーンが使われるようになる
 (Blockchain to be selectively used in procurement)
3. 音声指示により購買業務を行うスマートスピーカーの利用が一般的になる
 (Voice-activated and bot-purchasing experiences will be the norm)
4. 出来合いの製品システムに、サードパーティ製作のソフトを適宜組み込んで機能拡張を図れるようになる
 (Commercial off-the-shelf solution providers will open up their architecture so that third parties can develop and sell apps and software that enhance functionality)
5. RPAが、出来合い製品に組み込まれ、どの業務内容でも使うことができるようになる
 (Robotic process automation (RPA) will be ubiquitous and will become an integral part of any COTS deployment)
6. 購買組織は社内外データソースを活用し、より優れたサプライヤーリスク評価ができるようになる
 (Organisations will leverage internal and external data sources to better assess supplier risk)
7. IoTで接続されることで、リアルタイムに様々なデータを統合してみることができるようになる
 (Integrated data ecosystems set to accelerate visibility of patterns across the organisation)
8. データのクリーン化(整合化)と集約は、手作業を経ずに、すべて機械が行ってくれるようになる
(Machines will mostly clean and curate their own data)
9. 購買部門がスリム化され、より迅速に事業部門い直接的に貢献する部門になる
 (Procurement will be a smaller, more agile function that partners directly with business units)
10. 購買部門が全社戦略に貢献するようになり、その貢献が競争優位性獲得の重要手段になる
 (Procurement’s contribution to the overall organisation strategy will be a major driver for competitive advantage)