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IoTによる企業間サプライチェーン・データ連結を本格的に検討すべきタイミングか、標準基盤化も進む - 日本経済新聞他 (2020-02-15)

企業間のデータ連結による統合サプライチェーンの実現は、20年以上も前から概念としては存在し、私の大先輩も論考で文章化さてきました。そして特定企業間での独自の仕組みによるデータ連結の先行事例が実施されてきました。例えば、コマツの「コムミックス」のような協力会社(ミドリ会)の生産機械までをつなぐ仕組みがそれに当たります。しかし標準化・汎用化した仕組みでないと、高価かつ独自に解決すべき課題山積と難しいところがありました。

しかし、自社内のIoT導入がさらに進み、データ交換の標準化プラットフォームも登場するに当たり、いよいよ本格的に企業間データ連結を考えてよい時期と思えます。
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日本能率協会コンサルティングの「第5回 ものづくりIoT実態調査」では、IoTによって現場の課題解決に取り組む企業の割合がさらに増加したことに加えて、売上高100億円未満の中小企業でも2018年の34%から2019年は47%と、IoTによる課題解決に取り組む企業が造塊していることを報じています。さらに売上高100~1000億円では、2016年は27%、2017年は41%、2018年は55%、2019年は61%と着実に増加しているようです。(但し有効回答数188件とやや少なめですが)。

さらに1月23日の日刊工業新聞は、系列外ビジネス拡大も狙って、ジーテクト、エフテック、八千代工業のホンダ系サプライヤー各社がIoTの導入を本格化していくことが報じられました。ジーテクトは既に進めているIoTノウハウ外販事業を始める一方、八千代工業は2025~2030年までの中長期視野と様々な取り組みとしています。系列外ビジネス獲得ということは、社外との企業間データ連結も想定に入れているのではないかと思います。

このような状況下、企業間のデータ連携の標準プラットフォーム事例も出てきています。昨年6月には、日本国内のベンダー系100社が連携して、設備の稼働状況や品質検査などの製造データを相互に取引できる「ものづくり出た取引基盤」の報道があり、日立によるアマダでの事例も報じられました。

さらに海外では、インダストリー4.0の独自動車業界での、フォルクスワーゲンのVolkswagen Industrial Cloud、BMWグループのOpen Manufacturing Platform(OMP) などの大規模事例も出てきています。

参考)
製造業のIoT活用、大手企業だけでなく中小企業でも拡大傾向ーMonoist (2020年2月12日)
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2002/11/news008.html

ホンダ系サプライヤー、IoTで生産効率化 「系列外」受注拡大狙う - 日刊工業新聞 (2020年1月23日)
https://newswitch.jp/p/20887 / https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00545379

ものづくりデータ取引、100社連携 開発・生産を効率化ー日本経済新聞(2019年6月17日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46172940W9A610C1MM8000/

取引先も丸ごとIoT化 アマダと日立、次世代工場で協業ー日本経済新聞(2019年4月10日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43532080Z00C19A4TJ2000/

AWSで「世界最大規模」のIoT構築へ、独VWがクラウド生産システムの全貌明かすー日経BP
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01126/120600005/?ST=ch_businessAI

ZF、オープン・マニュファクチャリング・プラットフォームに参加…マイクロソフトとBMWが設立ーResponse(2020年2月14日)
https://response.jp/article/2020/02/14/331697.html

コマツ、協力会社とIoTで連携、生産一体化で機械半減、タブレットで管理容易にー日本経済新聞(2017年1月23日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO11875910Z10C17A1000000/