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購買部門の役割の社内認識が狭すぎ、もっと事業貢献に進むべき(でもトップと平均の差が縮まっていないか?) ー ATカーニーの調査レポート最新版 (2019-12-13)

購買業務の現状を評価するレポート"Assessment of Excellence in Procurement(AEP)"の最新版が、コンサルティング会社のA.T.カーニーから2年ぶり(前回は2017年)に、12月3日に公開されました。1992年にスタートしてから今回で10回目の発表になるとのことで、購買業務の動向を追う上でも貴重な、継続的に発行されているレポートになります。

今回のレポートの副題は「Realizing the Power of Procurement(購買の力を(十全に)実現しよう)」です。一方で現状がどうかとの観点から、英国購買団体CIPS(Supply Management)の紹介記事は「購買の役割の社内認識があまりにも狭すぎる」というタイトルで、このレポートを紹介しています。

毎回繰り返されていることですが、今回も社内のCFO(財務数値の統括者)の半分は、購買部門が単なるコスト削減交渉部署としか考えていない、戦略的な事業貢献の期待はしていないことを、レポートは指摘しています。また、購買部門としても、平均的な企業(中間50%)はコスト削減成果主体なのに対し、先進リーダー企業(上位25%)はその他の領域に目を向けているとしています(2017年の同様の指摘)。

では、高い成果を上げている先進リーダー企業の購買部門は何に優れているのかというと、「チームエクセレンス(Team excellence):社内で戦略的貢献を作り出す媒体力」、「品目カテゴリーエクセレンス(Category excellence): 優れた品目戦略立案・実行力」、「サプライヤー・エクセレンス(Supplier excellence):サプライヤー協働」の3本柱であるとするのも、前回(2017年)と同じです。その他の数値も、例えば先進リーダー企業の8割が、戦略的な購買業務に7割の工数を充てているなどの指摘(平均的企業でこの比率を実現しているのは17%)がありますが、2017年にも「先進リーダー企業は7割を戦略的業務に充てている」との指摘があり、あまり変化は感じません。

それよりも、A.T.カーニーの購買成果測定の独自モデルであるROSMAを使った、先進リーダー企業(上位25%)と平均的企業(中間の50%)の得点差が、2017年には13点対4.5点に対し、今回の2019年は10+点対5点と縮まってきています。

ということは、平均企業の底上げが発生しているように思えます。落ちこぼれないように業務の質を維持していく観点で、各購買部門は一度考えてみる必要があるかもしれません。

参考)
Realizing the Power of Procurement: 2019 Assessment of Excellence in ProcurementーA.T.Keaney
(2017年レポートも、このリンク先から入手可能)
https://www.atkearney.com/procurement/article?/a/realizing-the-power-of-procurement

ATカーニー、3年ぶりに調査レポート"Assessment of Excellence in Procurement"の最新版を発表-It's購買系 (2017年9月20日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/1647941748570396