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トヨタですら原価低減額が減少、系列部品メーカーは減収減益、原価低減の不調を指摘ー日本経済新聞 (2019-11-11)

11月8日の日本経済新聞が、本体とともに、トヨタのサプライヤーとのコスト削減の成果が減少していると報じています。
従来は目標値の3,000億円をクリアできてきましたが、前期と2020年3月期は2500億円程度。1台当たり原価低減額は今期に2万8000円程度で、3,000億円台の効果が出ていた18年3月期の約3万7000円から大幅減の見込み。

ゆえに「高岡工場(愛知県豊田市)の塗装工程では1日当たり10枚使っていたゴミ袋に生産で使う部材が入っている袋を再利用し、1台当たり0.07円の原価低減」と社内コスト削減活動を強化し、カイゼン成果は数百億円を積み上げたとの、工場担当の河合満副社長が7日の記者会見で語ったとのこと。

一方で、サプライヤーの側を見ると、日経記事と同日の11月8日に「トヨタ、過去最高益の裏にある新次元の「ケイレツ搾取」【決算報19秋】」という内容で報じられたように、デンソーやアイシン精機ですら上期に減収減益でもはや余力は無くなっています。

搾取云々はともかくとして、2009年のトヨタショック以前は「トヨタの情報システムのサプライヤーマスタから、サプライヤーの事由(廃業・倒産)以外で登録削除されたことはない」とまでの噂があった(ショック以降は未確認)、その内容の書籍も出版された「トヨタのサプライヤーシステム」対応はどうなるのかは、注目しておくべきかもしれません。

なお、2009年には突発事態発生に伴い「緊急収益対策委員会」が設置されて対応に当たりましたが、最近のトヨタ経営陣の発言は、それ以来の危機感の強い表明に思えます。

なお、有料会員限定記事ですが、11月7日から自動車新聞で「連載「競争力を高める(劇変期の)調達戦略」」が始まり、トヨタ、スバルと続いています。

参考)
トヨタ、過去最高益の裏にある新次元の「ケイレツ搾取」【決算報19秋】ーダイヤモンド・オンライン(2019年11月8日)
https://diamond.jp/articles/-/219876

トヨタ、来年度上期も原価低減は継続も部品価格低減要求は前期比同等の1%未満-日刊工業新聞 (2019年02月28日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/2315577908473440

連載「競争力を高める(劇変期の)調達戦略」(1)トヨタ自動車 -日刊自動車新聞 (2019年11月7日)
https://www.netdenjd.com/articles/-/222875