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対外倫理方針を基準明確化し、公開すべき時? 電力各社で見直しや公開の発表が相次ぐ - 日本経済新聞他 (2019-11-09)

関西電力の金品受領問題を受けて、電力各社から社内規定の見直しの具体策が報道され始めました。取引先との倫理規定を単に整備するだけで無く、基準閾値の明確化、さらには社外公開まで考える必要が、広く一般企業にも出てくるかもしれません。社外取引先と大きく関係があるのは購買部門であり、動向には注意しておくべきと思われます(関電金品受領は、発注関係の問題でした)。

10月2日の日本経済新聞などで電力各社の取引先とのコンプライアンス(社内倫理)規定見直しの報道がありました。その具体策が、電力各社から出始めました。主要な論点は、以下の2点です。
・従来「常識の範囲で」としていた基準閾値の明確化 - 一切禁止も含めて
・遵守基準の社外公表

最初の規定見直し、特に基準閾値の明確化については、各社の対応が以下のように報じられてます。

北陸電力:
今後は「中元や歳暮を含む金品の受領を一切禁止」
従来は「慣習的な儀礼の機会にのみ、かつ常識的な範囲内の金額・回数に限り受けることができる」

中部電力: 取引先に歳暮控えてもらうように呼びかけ。贈答品に関しては「儀礼の範囲」の金額上の取り決めなどを議論中。

四国電力: 四国電はコンプライアンスガイドラインで、贈答品の受け取りについて、「一般的なビジネス慣習や社会的常識の範囲内とする」と定めているが、企業倫理等委員会を設置しルールを見直す。

東北電力:社内規定で改善すべき点がないか対応策を検討。

また、2002年から「コンプライアンス行動指針」を公表し、電力業界に留まらず広範囲な企業の参考にもなっていた九州電力が、最新版の公開を行ったことも報じられました。

ただし、報じられている電力各社の検討は物品受理が主で、懇親接待部分の報道は出ていません。先行している九州電力でも、2002年の時点では「社会通念上妥当な範囲内で実施」としています。一方で多くの海外企業は「Meal・Entertainmentは上限いくらまで」と規定に明記しています(というか「常識の範囲」では「どういうことですか」と社員からクレームが出てしまうのでうまくいかない)。
こちらの明確化も、今後検討の論点にあがってくることが予想されます。

参考)
電力各社、法令順守規定を見直しへ 関電問題を受けー日本経済新聞(2019年10月2日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50456360R01C19A0EE8000/

北陸電力、お中元やお歳暮の受け取り禁止にー日本経済新聞(2019年10月31日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51656360R31C19A0LB0000/

中部電、取引先に歳暮控える呼びかけ 関電問題受けー日本経済新聞(2019年11月6日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51648460R31C19A0L91000/

四国電力、贈答品の受け取りルールを明確にー日本経済新聞(2019年10月31日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51650320R31C19A0LA0000/

九電が企業倫理指針を公表 関電の金品受領問題受けー日本経済新聞(2019年10月29日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51556650Z21C19A0LX0000/

「コンプライアンス行動指針」の策定についてー九州電力(2002年12月25日)
http://www.kyuden.co.jp/press_h021225a-2.html