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日経と日刊工業で金型取引に関する報道、下請け企業と金型メーカーの型管理ルールがまとまりつつあるー日本経済新聞&日刊工業新聞 (2019-10-25)

■下請け企業での型管理ルール - 日刊工業新聞 (2019年10月18日)

8月6日に開始された産学官有識者による「型取引の適正化推進協議会」が、当初スケジュールに約1か月遅れて、パブリックコメント募集で示すルール案を取りまとめたことが、10月18日の日刊工業新聞の記事で報道されました(当初予定は、9月下旬から10月中旬にパブリックコメント)。。10月中に意見公募を開始し、11月に公表予定とのこと(現時点でパブリックコメント開始は確認できず)。

報道された内容は以下となっています。
[支払・保管料・廃棄タイミング (3つの事態別)]
■発注者が型も発注し、発注者資産の型がサプライヤーに預託されている場合
・支払は、完成品初回引き渡し時に一括前倒し払い。
・保管料は発注者が負担し、廃棄タイミングは発注者が決定。
■発注者の部品発注に伴い、受注したサプライヤーが型を手配し、サプライヤー資産で保有の場合:
・支払は、資金繰りに課題があるサプライヤーには、一括前倒し払い。
・保管料は発注者が負担し、廃棄タイミングは発注者とサプライヤーが協議して決定。
■上記以外のサプライヤーが自己判断発注分などの場合:
・支払、保管、廃棄ともにサプライヤー責任

[廃棄ー産業別に規定]
量産終了で部品補給開始から3年以内に時期の協議を開始する
その上で、業界別に以下のめどを定める
・自動車: 量産終了後15年間経過
・産業機械: 量産終了後 10~15年経過
・電気・電子・情報: 最終生産終了後3年経過
[技術・ノウハウ保護]
・秘密保持契約を書面化し、ノウハウ転用には対価を支払う

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一方で日本経済新聞は、10月16日に「書面で取引条件明示/費用の3割前払いを 金型産業、古い慣習是正へ 中小企業の負担軽減」の題で、経産省の金型メーカー保護について報じました。

下請法対象の中小企業も多い金型メーカーで、以下のような事態が生じていると問題点をまず提示。
・量産終了製品分も含めた多くの金型が金型メーカーに積みあがるが、保管・廃棄費用がもらえない場合も多い。
・金型の調整(おそらく発注者都合の作り直し)作業が発生しても、その対価が払われない
・支払が遅く、資金繰りに問題が生じる

これに対し、以下の対策が取られると報じられています。
・業界団体を含めた官民協議会をつくり、契約内容を原則として書面にすることなどを盛り込んだ報告書を作成
・発注段階で費用の3分の1を払うなど前払いに努める
・自動車向けは量産終了から15年経過を目安に金型を廃棄する
・発注元が不正入手した金型メーカーのノウハウ・知財の発注元内使用や他社無断転用にも警鐘

これらは、年内に予定されている下請中小企業振興法の改訂内容にも盛り込む予定とされています。
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さらに型管理以外に、中小企業庁では10月7日に「下請等中小企業における取引条件の改善状況調査結果」を発表しています。2019年1月~3月に実施し、21,644社から回答を得た調査結果では、以下があげられています。
・不合理な原価低減要請の改善や支払条件の改善は直近1年で改善が進みつつある
・労務費等コスト変動分の価格への転嫁できた比率(概ね、もしくは一部)ー 労務費52.6%、原材料・仕入価格61.9%、エネルギー価格45.1% など

参考)
型取引の適正化推進協議会(第1回) 配布資料ー中小企業庁 (2019年8月6日)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/katatorihiki/2019/190806katatorihiki.htm

下請けいじめ是正へ産官学協議会 製造業の金型取引 10月にも指針ーSankeiBiz(2019年8月7日)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190807/mca1908070500006-n1.htm

書面で取引条件明示/費用の3割前払いを 金型産業、古い慣習是正へ 中小企業の負担軽減-日本経済新聞(2019年10月16日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51042380W9A011C1EE8000/

下請等中小企業における取引条件の改善状況調査結果ー中小企業庁(2019年10月7日)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2019/191007Shitaukechousa.htm