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マッキンゼーは鉄道調達コスト明細分析まで支援、SAPが描く購買の未来となど、ベンダー動向 (2019-09-15)

以降に、最近のベンダー情報を整理します。

■マッキンゼーによるコスト明細分析支援 https://toyokeizai.net/articles/-/300275
マッキンゼーが、自社ツールの「Cleansheet」適用などで、コスト明細分析(コストエンジニアリング)サービスに2017年から乗り出してきていること、最近の英文論考記事でも倉庫使用料や小売業への適用が取り上げられていることは、9月4日の購買ネットワーク会メーリングリストのIt's購買系メールで記しました。

その状況の日本語記事が、東洋経済オンラインで「マッキンゼーが指摘する「日本の鉄道の改善点」」という題で出されました。その記事では、サービス内容を以下のように記しています。

「サプライヤーとの交渉においては、購買品目をパーツ別に分解して、投入された人件費や物流費などを分析して製造原価を割り出し、価格引き下げ交渉に使うことも行われる。欧州のある高速鉄道運営会社では、調達する高速鉄道車両をモジュールごとに分解し、30%のコスト削減可能性を特定できたという。おそらく、鉄道会社が新型車両を調達する際に、車両メーカーが部品を調達する際に、マッキンゼーが価格交渉のための理論構成を指南しているのだろう。」

さらに、マッキンゼーは、コスト削減スキルのトレーニングや、コスト削減意識の全社定着のためのチェンジマネジメントも実施するとしています。従来の戦略コンサルティングの範疇を越えた分野まで進出してきている様子です。

参考)
What should it cost? (2017年10月3日)
https://www.mckinsey.com/business-functions/operations/our-insights/what-should-it-cost

Why does it cost so much?(2017年10月18日)
https://www.mckinsey.com/business-functions/operations/our-insights/why-does-it-cost-so-much

When the price isn’t right: Using should-costs to reduce does-costs(2017年11月1日)
https://www.mckinsey.com/business-functions/operations/our-insights/when-the-price-isnt-right-using-should-costs-to-reduce-does-costs

Make cost saving continuous for years to come(2017年11月14日)
https://www.mckinsey.com/business-functions/operations/our-insights/make-cost-saving-continuous-for-years-to-come

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■SAP(Ariba、Fieldgrass, Concur) 9月3日にSAPジャパンが開催した調達・購買ソリューション事業の市場戦略の記者説明会(恐らくこれまで初めて?)は、様々なメディアから報道されました(参考の9月4日のリンクなど)。

それに加えて、「企業間の調達をスマートに--SAPがAriba、Fieldglass、Concurを1つにする理由」というタイトルで、AribaとFieldglassのCOOのJames Lee氏による、SAPが考える将来の調達の姿のインタニュー記事が出されました。

SAPでは、今年からAriba、Fieldgrass, Concurを統合した事業部門「インテリジェント・スペンド・グループ」を立ち上げていますが、その名前の由来の説明とともに、SAPが考える将来の調達の姿が語られています。

=なぜ ”Intelligent” + ”Spend”を組織名にしたのか=
まず「スペンド(支出)」ですが、企業の全ての支出領域をカバーする単一の(分断がない)業務基盤が提供されていなければならないとしています。ゆえに、Ariba(間接材などのモノ購入)、Fieldglass(サービス購買)、Concur(旅費や経費)のソリューションを統合した組織を設立した。

加えて「インテリジェント」は、その基盤に対して、AIなどの最新技術を適用し、業務の高度化や自動化を進める方向であるとしています。

=SAPが考える将来の調達の姿=
そのうえで、将来の調達の姿として以下をあげています。
・自動化すべきところは自動化し、プロキュアを戦略的な部門に変革されるべきである。
・倫理調達としての「Procurement with Purpose」は重視していくべきである。
・いつでもどこでも、購買ソリューションを体験活用できる環境が生まれる。(その状況分析もできるようにしていく)

なお、Ariba、Fieldgrass, Concurn製品としての統合は、2019年の後半に一部の統合シナリオを発表し、2020年以降も進めていくとのこと。

参考)
企業間の調達をスマートに--SAPがAriba、Fieldglass、Concurを1つにする理由ーZDnet (2019年9月13日)
https://japan.zdnet.com/article/35142378/

調達・購買のデジタル変革を下支え--SAPジャパン、Ariba/Fieldglassの戦略説明ーZDnet (2019年9月4日)
https://japan.zdnet.com/article/35142136/

SAPジャパン、調達・購買ソリューションが日本で需要拡大とアピールークラウドWatch (2019年9月4日)
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1205202.html