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優越的地位の濫用でサプライヤーの知的財産権や生産ノウハウを不当に吸い上げ事例726件と公正取引委員会が発表-時事通信ほか (2019-06-15)

世耕プランで型管理とともに重要課題とされながら、やや影が薄かった知的財産保護ですが、6月14日に公正取引委員会から実態調査報告書が発表されました。なお、調査事例は下請法対象企業に限らず、大企業分も含んでいます。

調査は製造業の企業間取引について行われ、2018年10月から書面調査(3万社-中小企業26,300社,大企業3,700社に回答依頼)、122社にヒアリング調査を行ったとのことです。その結果、15,875社から回答があり 726件(641社)の個別事例報告が寄せられたとのことです。
その結果、以下が参考事例集(今回の調査で報告された事例) 、企業が留意しなければならない類型事例として紹介されています。

1. 秘密保持契約・目的外使用禁止契約無しでの取引を強要される /片務的な秘密保持契約を結ばされる

2.営業秘密等であるノウハウの開示を強要される
2-①.秘密としている技術資料等を開示させられる
2-②.発注内容にない金型設計図面等を無償で提供させられる
2-③.一方的な工場見学や工場内撮影を強要される

3.ノウハウが含まれる設計図面等を買いたたかれる

4.無償の技術指導・試作品製造等を強要される
4-①.競合他社に熟練工の特殊技術を無償で供与させられる/
4-②.継続取引の中での無償の試作品製造(実験等)を要請される

5.著しく均衡を失した名ばかりの共同研究開発契約 の締結を強いられる

6. 出願に干渉される
6-①. 出願内容の報告・修正を強いられる
6-②. 単独発明であっても,取引先と共同出願にさせられる

7.知的財産権の無償譲渡・無償ライセンス等を強要される
7-①. 知的財産権の無償譲渡等を強要される
7-②. 知的財産権の無償ライセンス等を強要される
7-③. 最恵待遇でのライセンスを一方的に義務付けられる

8. 知財訴訟等のリスクを転嫁される

また以前から出ている話題ですが、6月12日には日経産業新聞が「深層断面/下請け環境改善へ 経産省、金型管理適正化を加速」という題で紙面1面を使って、金型管理適正化に向けた産学官の有識者協議会設立などの話題が特集記事としてまとめられていました。

参考)
(令和元年6月14日)製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書の公表について-公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jun/190614.html

深層断面/下請け環境改善へ 経産省、金型管理適正化を加速-日刊工業新聞
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00519939

経済産業省、下請け型管理の適正化の足踏み解消に向けて、自発的改善の”目安”作成へ-日刊工業新聞 (2019年4月17日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/2388061104558453