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トヨタ、特殊鋼値上げ受け入れ 部品会社/鉄鋼問屋の収益改善へ-日本経済新聞 (2019-02-21)

2月20日に、特殊鋼の値上げに対するトヨタの対応が記事になりました。

1月22日の日本経済新聞で、部品サプライヤーが市況価格で購入している特殊鋼(全体の半分相当)に対し、トヨタが値上げを認めないことで、サプライヤーの利益が圧迫されているとの指摘が、鉄鋼メーカー業界団体の鉄鋼連盟から経済産業省金属課に是正の要望として届いたことが報じられました。

さらに、この背景としては、トヨタと鉄鋼メーカー(新日鐵住金が基準)が決定した価格で部品サプライヤーが購入する「集購材」の一般鉄鋼原料価格が、新日鐵住金の思惑に反して値上げにならなかった(但しトヨタは値下げできなかったと考えている)こと、および「集購材」の特殊鋼価格は2018年上期に市況を反映して値上げが認められたといった状況もありました。

それに対して、残り半分の市場調達の特殊鋼は、部品サプライヤーの購入価格が上昇しているのに、一般鋼集購材と同一基準で、サプライヤーのトヨタ販売価格の値上げを認めない(結果としてサプライヤー利幅が減る)のは問題であるとの指摘でした。

それに対して、「市場価格で調達する鋼材のコストアップ分について、適切に部品価格に反映する」という調達方針を、トヨタが採り、サプライヤーへの状況調査を始めたと、2月20日の日本経済新聞が報じました。

また、トヨタと鉄鋼メーカー間で部品サプライヤーの購入価格が決定される「集購材」の特殊鋼価格も2018年下期に引き続いて2期連続で値上げされるが、市場価格に比べてまだ1万円程度安く、鉄鋼メーカーや鉄鋼問屋(一次卸は鉄鋼メーカーや商社系列の専門商社主体)の思惑通りの価格ではないとされています(日本経済新聞の記事には、内容の混乱があるように思えます)。
一方で「集購材」の一般鋼(鋼板)価格は据え置かれるとしています。

しかし2月20日の日刊工業新聞では、「集購材」の特殊鋼価格の値上げ幅の折り合いがついていないと報じられました。原材料価格が下落し、前期も値上げしたため、トヨタも強い姿勢とのこと。なお、市場価格に対する価格差は、一般鋼板と特殊鋼ともに7000円となったとし、まだ特殊鋼供給側の不満も大きいが、今週中には決着見込みとしています。

参考)
新日鉄住金、鋼材価格巡りトヨタと摩擦 値決め「2通り」で中小苦境 岐路に立つ部材調達-日本経済新聞 (2019年1月22日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/2257103274320904

トヨタ支給材価格、特殊鋼で交渉難航 普通鋼は据え置き-日刊工業新聞 (2019年2月20日)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00506887

トヨタ、支給材据え置き 原料価格減も高炉各社に譲歩-日刊工業新聞 (2019年2月14日)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00506155