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中国が異次元の「環境規制」、数万カ所の工場(全工場の1%)が操業停止に-Forbes (2017-11-15)

10月末にForbes, Bloombergなどが一斉に報道しましたが、大気汚染問題の解決に向けて、環境保護当局が前例のない摘発を進める中国で大規模な操業停止が発生し、サプライチェーン断絶リスクとして、大きな注目を集めています。

日本語記事は「数万社」という実数で報道されたためあまり注目はされていませんが、「全体の1%の工場が停止している」と比率で報道された欧米では、大きく注目されています。

記事の概要は以下。

・環境保護当局の監査での違反摘発により、中国にある製造工場の1%が操業停止に陥っていると想定される。現在までに、摘発されて罰金や刑事罰を受けた工場数は8万社以上。

・さらに環境保護当局の監査中は、工場の操業を停止し、電気やガスを止める必要があるため、全工場の4割が監査により操業の一時停止を余儀なくされたと見積もられている。
さらに今も30人程度の監査チームが地方を巡回中であり、今後監査を受ける工場は、同様に操業を一時停止する必要が生じる。

・このため、中国調達品の納期遅延、納入数不足、コスト増が発生している。

日本でも国内の景気が回復し、国内サプライヤーの供給能力に余裕がなくなりつつある現状で、中国の供給が途絶えた場合、代替サプライヤー探しもなかなか難しいという現状になってきています。留意が必要と思われます。

また、Bloombergの記事では、摘発された樹脂成形工場が自主的な操業停止に陥らざるを得なかった状況で、環境規制に対応するか、廃業するかを迫られる中「どうしたらよいかわからない」と嘆く工場経営者のエピソードがより具体的に書かれています。

なお、監査の実施のされ方は、10月19日の日本経済新聞は「突然の査察で工場閉鎖 中国の環境規制、河北省・廊坊ルポ」というタイトルで報道しています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22461130Z11C17A0EA2000/

また、9月16日には「中国環境規制強化が調達リスクに、車部品の調達難がGM・VW車に影響も」というタイトルで、自動車業界に懸念が生じていることも報道されています。https://www.facebook.com/itscobuy/posts/1649523875078850

参考)
China Shuts Down Tens Of Thousands Of Factories In Widespread Pollution Crackdown-Forbes(英文での報道記事)
https://www.forbes.com/sites/trevornace/2017/10/24/china-shuts-down-tens-of-thousands-of-factories-in-widespread-pollution-crackdown/#56168d074666

China's Pollution Crackdown Is Gaining Momentum-Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-10-16/steel-town-shutdowns-challenge-china-s-growth-as-leaders-convene