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独自動車メーカー5社の購買に関する秘密協議が発覚、違法カルテルに該当の可能性-独シュピーゲル他 (2017-07-24)

7月21日の独雑誌メディア「シュピーゲル」の電子版が、独自動車メーカー5社(フォルクスワーゲン(VW)、アウディ、ポルシェ、BMW、ダイムラー)が、1990年代から技術、購入価格、サプライヤーなどの情報交換の秘密会合を持っていたことを報じました。なお、詳細は雑誌の2017年第30号で報じるとのことで、同誌の表紙も「DAS KARTELL」という図柄になっています。

この事態は、VWのディーゼルエンジン偽装(いわゆる、VWディーゼルゲート事件)の調査の過程で発覚したもので、7月21日のオンライン版が報じる概要は以下になります。

・1990年代から、ドイツの自動車メーカーはディーゼル車の技術、コスト、サプライヤー、排ガス浄化方式に関する秘密会合の作業部会を行ってきた。
・シュピーゲル誌がその情報を掴み、VWがこれを独占禁止当局に自己報告したことに基づくものだが、ドイツ経済至上最大のカルテル事件になる可能性がある。
・VWからの情報では、上記5社の200人以上の従業員が、60日以上の作業部会に参加。
・もっとも極端なケースとしては、VWディーゼルゲート事件に発展した偽装技術が、独自動車メーカー各社で共有された可能性がある。
・購買面においては、共同作業部会で、サプライヤーをどこにするかや購入コストをどうするかも話し合われた。
・なおVWはすでに調査対象下にあるほか、その他各社も罪状軽減のために独占禁止法当局に自己申告する可能性があるとのことです。

なお、日本においても下記の公正取引委員会の「自動車部品メーカーの原材料の共同購入」にあるように、需要全体に占める購入額が大きい場合には独占禁止法上の問題になります。ただし、需要に占める購入額が小さい場合には、共同購買の名目で、購入品の価格などを買い手間で共有しても、独占禁止法上は問題ないことが上記資料では示されていると考えられます。

参考)
自動車部品メーカーの原材料の共同購入-公正取引委員会
http://www.jftc.go.jp/dk/soudanjirei/kyodokoi/kyodo12.html

German car giants 'may have colluded on emissions'-The Telegraph
http://www.telegraph.co.uk/business/2017/07/21/german-car-giants-may-have-colluded-emissions/

VWなど独5社、90年代からカルテルか 独誌報道 -日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC21H37_R20C17A7EA6000/

独の大手自動車5社 不正カルテルか 独メディア報道-NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170722/k10011068921000.html