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SEC委員長代行が紛争鉱物規制の主要部分の一時停止を表明-ロイター他 (2017-04-17)

日本で全く報道されていないのですが、米国紛争鉱物規制の主要部分の強要停止がSEC委員長代行(現在のSECトップ)の名前で、4月7日に発表されました。

紛争鉱物規制については、自社製品が「『DRCコンフリクト・フリー(コンゴ民主共和国又はその隣接諸国の紛争鉱物不使用)』と判明していない」ことをSECに報告し、かつ自社ウェブサイトで開示することの義務付けは、米国憲法修正第1条に違反しているとの判断を、米国のコロンビア特別区(DC)連邦巡回区控訴裁判所が2014年に下し、その後も再審理請求などが続いていました。

自ら罪を告白することを企業に強制することが、言論の自由を妨げるとの理由でこの判断はなされました。

それが最終確定したのが今年の4月3日です。そしてそれを受けて、4月7日にマイケル・ピオワー委員長代行(共和党)が、SECのウェブサイトにPublic Commentを掲載しています(題名:Statement of Acting Chairman Piwowar on the Court of Appeals Decision on the Conflict Minerals Rule https://www.sec.gov/news/public-statement/piwowar-statement-court-decision-conflict-minerals-rule)。

それには、どうすべきかのSECからの提案がまとまるまで(「永遠に」になる可能性もあり)は、最もコストがかかる作業である「監査(監査(製錬所と精製所の現地監査)」も「デュー・デリジェンス(流通経路の詳細調査)」も強要しないとされています。

ただし規制のその他の部分は有効であり、米国上場企業はSECに対し紛争鉱物を含んだ原材料を使用してない申請を毎年行わなければなりません。しかし事実確認(監査もデュー・デリジェンスも)無しで、これが可能になります。

またデュー・デリジェンスが強制されないということは、米国上場企業のサプライヤーは紛争鉱物を使っていない申告を強要されないことに繋がります。

すなわち、これまで多くの手間を掛けて行われた作業が必須でなくなり、制度として実質骨抜きとなります。

紛争鉱物規制を作り上げた民主党やNGOなどから反発の声が上がっており、かつ早くから「紛争鉱物フリー」を謳い上げてきたアップルなどの先進企業が自主規制などで同等の仕組みを維持するのかなど不明確な点が多くありますが、動向に十分に留意していくことが必要と思われます。

(参考)アップルやインテルは、SECの紛争鉱物規制緩和以降も、現行の紛争鉱物対応を継続-Bloomberg (2017年4月13日)
https://www.bna.com/apple-intel-carry-n57982086613/

なお、マイケル・ピオワーSEC委員長代行は、以下のように、1月末時点で紛争鉱物規制の見直しに言及していました。

紛争鉱物規制の見直しにSEC臨時委員長が言及、適用時期遅延や範囲見直しも-Wall Street Journal/Reuter (2017年2月1日)
https://www.facebook.com/itscobuy/posts/1405600882804485