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防衛省の購買組織、明細見積での精査でF35戦闘機購入額を約180億円(13%)削減ーロイター (2017-02-03)

防衛省が2017年度に発注するF35戦闘機6機の購入費用を約180億円コスト削減したとの報道がありました。内訳は、F35本体が157億円を146億円に11億円、関連経費423億円を309億円と114億円、それぞれ削減。

2015年10月に発足した防衛装備庁が、従来の米国防総省の「対外有償軍事援助(FMS)」での一式見積提示を改め、個別項目ごとに細かく明細を提示させ、「1つ1つ項目を綿密に精査し」、米国防総省と複数回にわたりと交渉した結果とのことです。
F35の量産化が軌道に乗った、為替が円高に振れたなどの要因もあるとのことですが、購買統制が効いた事例と想像されます。

一方で、トランプ大統領は就任前にペンタゴンの交渉に"Out of Control"を叫んで急遽同席し、いわゆる「瀬戸際に追い詰める(Brinkmanship)」戦術(衝突も辞さないという強硬な姿勢を取ることによって相手方の譲歩を引き出す交渉戦術)の典型事例のようなアクションをとり、90機分で6億ドルの削減を実現しました。その余波で、日本側も更なるコスト削減交渉も想定されるとしています。

他の更なる低価格がバレるとそれに合わせて交渉される典型例であるとともに、日米の削減額の差を考えると、米国防総省がかなりふっかけて売っているのではないかとの憶測もできてしまします。

このようにF35調達は、購買業務観点でも面白い展開となっていると思えます。

関連記事)
Japan wins cost cuts from U.S. on F-35 fighter jet package-Japan Times
http://www.japantimes.co.jp/news/2017/02/02/business/japan-shaves-costs-u-s-f-35-fighter-jet-package/#.WJNDkoVOKMr

追記)米国防総省は、その後の交渉により90機のF35戦闘機の価格を総額85億ドル(1機あたり約9400万ドル)まで低減したとのことです。 UPDATE 2-Lockheed, Pentagon announce $8.5 billion F-35 order-Nasdaq http://www.nasdaq.com/article/update-2lockheed-pentagon-announce-85-billion-f35-order-20170203-00804#ixzz4XfiM9uwU