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弁護士村田恭介氏―下請法、運用基準を改正、違反の例示倍増、勧告増える恐れも-日経産業新聞 (2016-12-07)

12月7日の日本経済新聞のビジネスQ&A欄に下請法の運用基準改正に関する記事が掲載されています。改正についてはこれまでも様々に取り上げられていますが、少し裏話的な要素も含まれており、興味深く読みました。

興味を持った主な点は以下。

・安倍首相の今年1月の施政方針演説の『下請け企業の取引条件の改善に官民で取り組む』の強調などから、下請法の運用を強化して中小企業に賃上げを促し、景気回復を後押しする狙いで、改正などの動きが進んでいる。

・下請け代金は原則として現金払いとし、手形の支払期間の短縮を求めるなどの内容だ。今回の運用基準改定には盛り込まれないようだが、要請直後は資金繰りに影響が出かねないと大企業の担当者は神経をとがらせた。

・公取委は消費税転嫁対策特別措置法に基づいた消費税の便乗転嫁にしばらく注力していたが、10%への引き上げは再延期された。そこで下請法対応に人員を集められるようになっている。、17年度以降の勧告数が現行水準の2~3倍に急増しても不思議はない。

・改正案は買い叩き要件を『(原材料価格の高騰を受けて)下請事業者と十分な協議をすることなく、一方的に、従来通りに単価を据え置く』と該当する恐れがあると追加した。値上げ要請への対応次第では、これまでのように通常の対価を大幅に下回っていなくても違反認定される可能性がありそう。

・値上げ要請に対し『当社は個別の価格交渉には対応しません』などと協議そのものを否定するような電子メールを送ると買いたたき認定の証拠となりかねない。

・『下請取引適正化推進講習会テキスト』には、商社が関与する場合の発注企業と下請け企業の定義など運用基準に書いてない内容もある。