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アパレル大手、サプライヤーリスト公開相次ぐ-人権・労働、広がる企業責任(ビジネスQ&A)- 日経産業新聞 (2016-10-29)

昨日の日軽産業新聞に「ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表土井香苗氏――人権・労働、広がる企業責任(ビジネスQ&A)」というタイトルで、海外アパレルメーカー各社が、下請けの危険な労働環境を放置しないとの責任意識の観点から、自社のサプライヤー情報の開示に動いているとの記事が掲載されました。

サマリーは以下。

・世界的なアパレル大手などで製造委託工場などの一覧(サプライヤーリスト)を公開する動きが出てきている

・世界的な大企業は、下請けの労働者なども含めた労働・人権の問題に責任を持つべきだという国際的な合意が国連などで定められてきたことに加えて、2013年のラナプラザビル崩壊が契機となり、製品などの製造委託工場の名前や所在地のリストをネット上などで公開する事例が増えている。
・公開している大手ブランドは、ギャップ(米)、ナイキ(米)、リーバイ・ストラウス(米)、パタゴニア(米)、間0クス・アンド・スペンサー(英)、C&A(独)、アディダス(独)、H&M(スウェーデン)
・リストが公開されれば、工場での過酷労働発生時に発注先を特定しやすいことに加えて、大手メーカーが下請け段階での適正な労働管理に気を配ることにつながるというメリットがある

・但し、フォーエバー21(米)、ファーストリテイリング(日)、マンゴ(スペイン)は非公開
・リストを公開した大手ブランドが競争力を落としているという話は聞かない。むしろ公表の流れがもっと進めば、今後は逆に、公表しないことでのデメリットが注目されるようになる可能性もある

・日本の消費者は欧米に比べて、大手メーカーの下請け工場に対する責任に関心が高いとはいえず、大規模な消費者運動もあまり起きていない。NPOや消費者団体の規模や存在感も欧米より小さく、企業に公開を促すには力不足である点は課題といえる。しかし12年のロンドンのように、20年の東京五輪で世界の目が集まることで変わる可能性がある。