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2年前とくらべて不正購買は2割減少 – PwCグローバル経済犯罪調査 (2016-02-28)

PwC監査部門が定期的に実施しているグローバル経済犯罪調査の2016年版が2月25日に発表されました。6000人以上の回答者に対して、経済犯罪に該当する事態が直近24ヶ月に発生したか否かを尋ね、その結果を集計したものです。

経済犯罪全体としては、犯罪が発生したと回答した企業は、36%と微減しました(図1)。

不正購買(Procurement Fraud)については、発生したと回答した企業は全体の24%と、前回調査(2014年)に比べて2割減少しています(図2)。不正会計を含む従来型の経済犯罪の減少は、組織のマネジメント・コントロールの徹底に起因するのではないかと、原因が推測しています(一方でサイバー犯罪の増加が顕著です)。

※図は、コメント欄を参照してください。
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なお、不正購買(Procurement Fraud)は、前回(2014年)の調査から調査対象として加えられた項目です。
2014年のレポートの18-19ページに、この項目を追加するに際して、その定義が述べられていますので、以下に訳出しておきます。

不正購買(Procurement Fraud) とは

前述のように、今回から不正購買-すなわち不正実施者が利益を得たり、義務を回避したり、所属組織に損害を与えるといった不法行為についての調査を開始した。結果はかなりひどい状況だった-米国の回答者の1/4以上が、不正購買が発生したと回答した(27%)。その結果、不正購買は米国企業で3番目に多く発生している不正行為となった。不正購買に関する米国分の回答は、24ヶ月以内に不正購買が発生したと回答したグローバル全体平均値(29%)ともほぼ同じである。

不正購買が高い値を示しているのは、企業間の相互関連度の増加、あるいは業務アウトソーシング増加のトレンドが影響している。購買、供給、支払の各プロセスの迂回できる場合、不正購買に対して企業は脆弱になる。経済的な競争優位を保つために、企業はサプライチェーンを長くして、安価な労働力の恩恵を求めて国外生産に大きく依存することを多々求められている。これが、さらに事態を複雑にし、コンプライアンス部門が以前にない海外地域にまでかかわらなければならなくしているのだが、それ故に様々な形態での不正購買が起こりうる機会が生じている。本国から経済的なプレッシャーが、意図しない不正購買の結果につながっていることもある。

多くの不正購買は、サプライヤー関連で発生している。購買業務関係者が、贈賄、談合入札、キックバックを条件に、サプライヤー選定や見直しでの選択を変えるといったことになっている。不正購買は、支払プロセスで発生するものが、全体のほぼ半数を占める。米国でもグローバル全体でも同様である。不正発生状況の集計値(図3)は、企業が社外購入やパートナーシップを契約締結する前に、しっかりとしたサプライヤー・デューデリジェンスを行うべきことを示している。明らかに、しっかりとしたグローバル・コンプライアンス・プログラムを有する企業は、新たな地域からの物品およびサービス購買でも良い状況になっている。海外の高リスク地域からの購買経験を持たない企業が、購買不正事態の犠牲になっている場合が多い。だが、不正購買に手を染めるサードパーティ企業と気付かずに購入契約を結んだ場合、コンプライアンス不備が明らかになって、企業の評判が損なわれることも少なくない。不正企業と取引したことからの連想で、企業の評判が損なわれることもある。企業は、社内外の取引関係者の双方に注意を払わなければならない。

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不正購買とは – 米連邦調達庁長官室(GSA - Office of Inspector General)の定義から

不正購買には、以下ようなものがある
入札談合(Bid Rigging) – 競争入札を妨げる不正。最低価格で最良の物品・サービスを入手するための自由でオープンな競争を不可能にする。
キックバック(Kickbacks) -優遇措置の見返りに、金銭(含:フィー、コミッション、与信)、贈り物、祝儀、その他有価物、あるいは様々な種類の保証措置を、直接もしくは間接的に与えること。
贈賄(Bribery) - 購入行為を変化させたり、義務を放棄させたりするために、有価物の提供を申し出たり、実際に提供したり、受け取ったり、要求したりすること。
共謀(Collusion)-2~3人が不正・詐取を行う目的で、秘密に共謀し、行為に関わること

※2014年の調査レポートのURLは以下: https://www.pwc.com/…/fore…/assets/economic-crime-survey.pdf

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Posted by It's購買系 on 2016年2月27日